SecureNavi株式会社は、ISMS・Pマーク認証などのセキュリティマネジメント業務を効率化・高度化するクラウドサービス「SecureNavi」をはじめ、組織のセキュリティ態勢向上を支援するプロダクトを展開しているスタートアップ企業です。 SecureNavi社では、直近契約社数が1,000社を突破したことから、CSが担当する顧客数やミーティング数が増加している背景があり、業務の効率化が喫緊の課題でした。担当者が1日に複数のミーティングをこなすなかで、顧客との会話内容を正確に記録・管理し、次のアクションへつなげる運用は、業務の質を保つうえでも欠かせないプロセスです。しかし現場では、議事録作成の負荷や、記録をもとにした振り返り・対応の難しさが課題となっており、顧客対応の質とスピードを両立させるための仕組みが求められていました。 こうした課題を背景に、SecureNavi事業本部 カスタマーサクセス部 部長の小田様にお話をお伺いしました。導入前の課題について詳細にお聞かせください Frictio導入前、CS組織が抱えていた課題は「定例ミーティングの多さ」でした。担当者1人あたり30〜35社を担当し、基本的に1人で1社を対応しているため、1日に4件ほどミーティングが連続する日も少なくなく、お客様との会話内容をすべて記憶しておくのは非常に困難でした。会話をしながらリアルタイムで議事録を作成するにも限界があり、ミーティング後にまとめようとしてもすぐに次のミーティングが始まってしまうため、記録が曖昧になり、結果として正確な議事録を残せないケースが多くありました。 こうした状況を受けて、社内では「1人あたりのミーティング件数を減らすべきか、それとも業務を効率化すべきか?」という議論が行われましたが、最終的には「効率化を優先すべき」という結論に至りました。ありがたいことに導入社数は順調に増加しており、それに比例して顧客とのミーティング機会も増えています。そこで、議題の抜け漏れを防ぎつつ、ミーティングの前後にかかる工数をできる限り削減することを目的に、AI導入の検討を始めました。 顧客とのミーティングでは、事前に弊社サービスのご利用状況を確認し、前回ミーティングの指摘事項を踏まえたアジェンダを準備する必要がありますが、この準備作業にも多くの時間と工数がかかっていました。準備を進める中で「前回どんな話をしたか」を思い出すのに時間がかかったり、手書きメモが残っていても、走り書きのようなでは内容の流れがつかみにくく、「なぜこの話題になったのか」といった背景まで把握できないことも多々ありました。その結果、お客様が求めていた回答を適切に提供できないという事態も発生しており、前回のミーティング内容を正確に把握できる状態を整えることは、CS組織において非常に重要なテーマでした。Frictio導入の決め手は? Frictioを導入した最大の決め手は、文字起こしの品質の高さでした。弊社では営業部門で他社の文字起こしサービスをすでに活用しており、私自身もその閲覧アカウントを持っていたため、Frictioと他社製品を同じタイミングで比較することができました。比較の際には、実際のミーティングデータを両サービスに読み込ませ、それぞれの出力結果を見比べました。他社サービスでは、要約といっても文章量が多く、全体を読まなければ内容を把握しづらい点がネックでした。一方Frictioは、トピックごとの要点が箇条書きで簡潔に整理されており、視覚的にも非常に把握しやすかったです。必要な情報にすばやくアクセスできるため、内容の振り返りや再確認がスムーズに行える点が大きな利点でした。 また、文字起こしのスピードもFrictioを選んだ理由の一つです。体感ではありますが、Frictioは約3分で文字起こしが完了するのに対し、他社サービスはそれよりもやや時間がかかっていました。弊社ではミーティング終了後すぐに対応内容をまとめ、Notionに議事録を記録する運用をしているため、出力のスピードは業務全体の効率に直結します。出力が遅れると転記のタイミングを逃してしまい、そのまま記録自体が抜け落ちてしまうリスクもあるため、スピード感は業務上欠かせないポイントでした。 こうした違いは、社内稟議でもFrictioと他社製品との比較結果を共有し、Frictioのほうが記録の見やすさ・使いやすさに優れているという点が選定理由として明確に伝わりました。もちろん、他社サービスにも良い点はあります。ただ比較してみると、Frictioは視覚的な整理のされ方や情報の粒度、必要な情報の抽出しやすさといった点で圧倒的に使いやすいと感じました。記録するだけでなく、その情報を“使う”という観点でも、Frictioは非常に有効なツールだと思います。Frictio導入後はいかがですか? Frictio導入後、当初期待していた効果はほぼすべて実感できています。これまでのように、手でメモを取りながらお客様と会話する必要がなくなり、1時間のミーティングをフルに「顧客との対話」に集中できるようになったのは、大きな変化でした。顧客にしっかり向き合えるという意味でも、業務の質の向上につながっていると感じています。 また、メンバーが顧客とどう会話しているのかを後から確認できるようになったことで、対応の質を保つ上でも非常に役立っています。たとえば、万が一トラブルが発生して私自身が謝罪対応にあたるような場面でも、事前にミーティングの録画と文字起こしを確認しておけば、何がどう伝えられていたのか、顧客がどのように受け止めたのかを把握したうえで適切なコミュニケーションが取れるようになりました。これはサマリーだけでなく、録画や全文文字起こしがあるFrictioだからこそできる対応です。 定量面でも、実際に大きな効果が出ています。議事録の作成1件あたり「15分→5分」に、事前準備も「15分→10分」程度に、Frictioの活用により1つのミーティングで平均15分程度短縮されています。弊社では月に数百件のミーティングがあるため、全体で見ると非常に大きなインパクトになっており、月あたりで全体として100時間近くの業務時間が削減できていると思います。正確な削減率までは出していないものの、間違いなく費用対効果のあるツールだと実感しています。 また、導入当初は想定していなかった副次的な効果も出てきました。最近では「CSがどのように顧客と向き合っているのか」が社内でも注目されるようになっており、CXOレイヤーからも「ドメイン知識や顧客理解の重要性」が全社向けに発信されています。そうした背景もあり、Frictioで記録されたCSの顧客ミーティングを社内の誰もが閲覧できるようにしよう、という動きが広がっています。実際に、営業メンバーがCSのミーティングを見たことで「こういう支援をしているのか」と理解が深まり、商談の場でもCSの価値をより具体的に語れるようになったという声も聞かれました。ビジネスサイドだけでなく、開発やコーポレート部門のメンバーもCS体験に興味を持ってくれるようになり、「全員がCSを理解するべきだよね」という空気が社内に広がってきています。今はまだミーティングの閲覧権限を付与し、Slackなどで「このミーティングおすすめです」と共有するレベルにとどまっていますが、今後は勉強会や定例の振り返りの場など、より組織的に顧客理解を深めていく取り組みに発展させていけたらと思っています。結果的に、Frictioは「議事録作成を効率化するツール」だけにとどまらず、顧客理解を全社的に底上げするための基盤としても活用されるようになってきたと感じています。Frictioに対する要望などはございますか? 現在、Frictioの機能には全体として非常に満足しています。日々の業務にしっかりと組み込まれており、導入前に期待していた効果も十分に得られていると感じています。そのうえで、今後さらに活用の幅を広げていく中で、「もっと使いこなしていきたい」と思っているのがプレイブック機能です。私たちが顧客と最初に接点を持つキックオフミーティングでは、これまでメンバーによって案内内容にブレがあったり、操作説明に時間をかけすぎてしまうことが課題でした。今後は、操作説明よりも「なぜお客様がこのプロダクトを導入されたのか」「どんな期待を持っているのか」といった期待値のヒアリングに重きを置いていきたいと考えています。そのためには、キックオフの進行を一定の型に沿ってガイドしたり、ヒアリング内容をもとに社内で分析・振り返りができるような設計が必要です。プレイブック機能がこの部分を支えてくれるようになれば、顧客ごとの価値提供をより精度高く実現できるのではないかと期待しています。